にゃおん

インフィニティ・プールのにゃおんのネタバレレビュー・内容・結末

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

監督のトークショー付きで鑑賞。
監督は気難しそうに見えて気さくでかわいかった。

自身と向き合いアイデンティティを自認し強く生きるゾ💪というのが主なテーマに感じた。クローンという「ある時点までの自身」と生身の自身という「ある時点から先を過ごした自身」の対比から、ひ弱な来歴を抱えたクローンの顔面を損壊するまで撲殺することで、ある時点以前の自身を払拭するような表現だった。勇気を貰えたありがとうブランドン。

ボディパーツへの細かいフェティシズムは唯一無二。もちろん父親とも違うし、ブランドンにしか出せない味がある。

お面を付けることで、対象者の野蛮性を引き出したり、顔というモチーフを強く印象付ける演出は、前作『POSSESSOR』から引き継がれている。また、ブルジョワと労働者階級という社会格差を描く姿勢は、処女作から三作通して描かれているテーマだ。

『POSSESSOR』でみられたようなギャスパー・ノエにも引け劣らない明滅から垣間見る乱交シーンは斬新でカッコよかった。
エロくもキモくもない乱交シーンだなんて初めてだ。

そして、どっちがオリジナルか分からなくなって─── というような単純でありきたりな演出にならないのはさすが。

頭おかしいミア・ゴスと情けないアレクサンダー・スカルスガルドが一度に見れるだけでも随分たのしい。

Tim Heckerの劇伴も最高だった。

過去2作と比較してどうしてもハードルが高くなってしまったが故、そのハードルは越えてこなかったが、長編デビューからこの3作を並べられるような人はブランドン・クローネンバーグしかいない。
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