Keruta

インフィニティ・プールのKerutaのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
4.2
何をやらかしてもクローン身代わりにして無罪放免!

鬼才デヴィッド・クローネンバーグの息子、ブランドンによる3作目。

とっくにネズミやヒツジのクローンは誕生しているが、人間のクローンが当たり前のように作られるようになったら?
少なくとも予想もできないような事態になりそうだ…。
それを過大に表現したのが本作だと感じた。
真っ先に飛びつくのは富裕層だろうが、人を傷つけても金銭と身代わりにより何もかも許容されてしまう世界、技術の進歩は豊かさと同時に世界を衰退させる側面もあるのか。



※以下、微バレあり

眠っている間にクローンが生成されるのだが、処刑されたのは本当にクローンなのか?
象徴的な歪んだ仮面はオリジナルの化けの皮を被っていることを暗示しているように感じた。
SNS時代、リアルでは自分を押し殺し醜い自分はバーチャルに存在している。
何事もなかったようなラストは現実社会という化けの皮で自らを偽るか…。

そして、『Pearl パール』でとんでもない演技を見せつけたミア・ゴスは今回もとんでもないインパクトを植え付けてくれる。
やっぱりオスカーにノミネートされないのはおかしいでしょ?
イケメンペニーワイズの兄、アレクサンダー・スカルスガルドも悪ノリグループに翻弄される情けない男を見事に演じている。

ボディホラーを確立した父親のDNAは受け継ぎつつ、独自の路線を切り開こうとしているブランドン監督の次回作にも期待したい。
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