グリリ

インフィニティ・プールのグリリのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.3
スランプを脱する為にとあるリゾート地を訪れた作家ジェームズは、現地で自分のファンだというガビ夫妻に誘われ禁止とされているリゾート外へ。しかしそこで人をはねてしまう事でジェームズは死刑を宣告される。
混乱と絶望の最中、クローンに死刑を代わりに受けてもらう事で罪を逃れる事が出来ると言われ彼はそれに同意するが…。


1人殺したんだから2,3人殺しても一緒という感覚と同じように、1度死んだんだから何度でも死ねばいいという、金さえあればクローンによって罪を消化出来てしまうシステムによりどんどん命の価値が薄らいでいく様が恐ろしい。
サイケデリックな映像で頭はバグりそうになるし、作中で主人公がどんどん罪にのめり込んでいく様は見てられないぐらい滑稽で破壊的。
自分がクローンなのか本体なのかというミステリーに転じそうな疑問はあっけなく処理され、無邪気な想像を上回る悪意に晒される過程が最悪過ぎる。
最後の主人公の選択はそうなって当然かと思うラストやった。

割とパワープレイな設定で、その状況でそこにいたらダメじゃない?とか、錯乱してるような映像はちょっと長いしたるいしと思う事も多かったけど、兎にも角にもミアゴス無双だったなという印象。
そこはかとなくミステリアスで、絶対に関わったらろくな事ないって分かりきってるのにそれでも手を出さずにはいられない危険な妖艶さ。後半から名前呼ばれるだけで震えるような怖さを感じさせる、彼女じゃなかったら走りきれなかったんじゃないかと思うほど凄まじい圧倒的存在感だった。

おすすめは出来ないし、絶対にカップルで観る映画ではないし、でもカルト的な思考をぐちゃぐちゃにされるのが好きな人は観たらいいんじゃないかと思う。
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