アレンさん

インフィニティ・プールのアレンさんのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.8
クローネンバーグJr作品のなかでは一番好き。
クローン技術の恐ろしさや道徳観はそこそこに、経験主義を声高に唱える奴等がどんな思想がグロテスクに見せてくるのが結構刺激的。

つまるところ彼らの"経験"というのは常に金で買える程度のそれで、ウルルン滞在記みたいに地肌レベルで経験しようなんてつもりは毛頭ない。お金で買えそうだから買っている程度なのである。

だから、彼らにとって一連のそれはあくまで自身の有り余る資産を前提にした人生ゲームの一コマにしか過ぎない。きっと他にもお金を使うゲームは幾らでも持ち合わせてるだろう。
だが、ジェームズだけは違う。
義父の資産力を揶揄されているように、彼は元々こんなゲームを行えるほどの資金力は持ち合わせていない人間だ。身の丈に合わない火遊びは自らをも焼く…結局彼はあのリゾートで味わった経験をゲームとして切り離せず、最後の結末を迎える。

中盤以降、エムに逃げられた後もミア・ゴス達とはしゃいでいるので、『次捕まったてもクローン作れる金ないのでは??』という心配に駆られたが、まぁそこら辺は気にしないが吉か。