トーチャンのデヴィッドは大好きだが、息子のブランドンの作品は初めて。
アイデンティティや実存への問いに迫るのかと思いきや、そうはならずにただただ破滅へと向かうのがクローネンバーグ一族の性といえばそうなのかもしれませんが、トーチャンと違ってどこか整然としていて、どこか清潔感があり、どこか狂いきれていない、設定がいくらでも面白くできそうなのに、どうにも惜しい作品だった。狙ってだとは思うが終盤はやりすぎてコメディチックになっちゃったし、ドラッグによるサイケデリックなポケモンフラッシュ的幻想も若い監督や撮影監督だとちょっと目新しいかもしれないが、私のようなババアからすると見慣れてしまって鈍感になってしまっているのも少々マイナスか。
不気味なマスクは「武器人間」のリチャード・ラーフォーストによるデザインとのことで、これもギミックとしてもう少しうまく使えてただろうなと思うと、やっぱり惜しい。
とはいえ、アレクサンダー・スカルスガルドとミア・ゴスの濃すぎる顔芸を楽しむだけでも見る価値があります。あと、ミア・ゴス、声がめちゃくちゃかわいいよね。