モモモ

インフィニティ・プールのモモモのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.9
自分のクローンを処刑すれば罪を免れる事が出来る「あるリゾート地」で崩壊していくモラルと喪われてしまう己と錯覚を起こすヒエラルキー。
ワンアイデアSFであり、横暴な白人の映画でもあり、侵略者と癒着の映画でもあり、有害な男らしさの映画でもあり、富裕層の醜悪さとその中に仲間入りできたと錯覚してしまう「持たざる者」の滑稽さを描いた映画でもある。
物語の入りの特殊性から飛び道具的な映画かと思いきや、人間を娯楽の一つとして考え、戯れの存在として扱ってくる醜悪さは万国共通の「虐め」や「迫害」の根幹と言うか、コミュニティの醜さの本質であり、人種や言語を選ばない普遍的な「厭」を内包しているのではないでしょうか。
人体破損描写にキレのある撮影とライティングに、クローネンバーグの血脈に求めている映画表現を存分に浴びる事が出来る。
ラストの「あ、じゃあ僕たち私達は日常に戻るんで」な切り替えの良さが1番不愉快で良かったです。
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