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インフィニティ・プールの1chikaのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
4.5
元々ぜんぜん観にいくつもりじゃなかったんだけど、予告を観て完全に釣られてしまった。
一 高級リゾート地である孤島で、罪を犯すと即死刑。それを逃れるには自分のクローンを作って、代わりに死刑を受けさせる 一

もうぜったい面白いじゃんと思って気づいたら映画館にいたはいいけど、もはやストーリー上ではこの設定自体が至極当たり前過ぎていて、伏線も無けりゃ焦点も当てない始末。完全にしてやられました。予告に釣られた身からすると、実は死刑によって殺されたクローンは本来の自分だったというオチとか、早々に帰っていった金持ちの妻がグルだったとか、そういうSFのお約束みたいなのを期待してたけど「そんなの今更やらないんで(笑)」くらいに的外れだった。

デヴィッド・クローネンバーグを父に持つブランドン・クローネンバーグが監督の本作。SFって大まかなカテゴリーで言うと父ネンバーグと方向性は一緒だけど、父ネンバーグよりも現実味のあるストーリーのように感じた。(一作目のアンチヴァイラル然り)だからこそ人間の怖さや臆病さがより強く感じられて、主人公の情けない心情も「分かる〜」ってなりながら観れた。自信がないからこそ、褒められると嬉しくなって仲良くなろうと無理しちゃうとことか、きっと何か新しい発見があるだろうと期待して外に飛び出しちゃうとか。結構この心理状態に共感できた人多いのではないだろうか。(見てられないほど哀れでひどかったけど)パートナーからの「あなたの目、ゴミ捨て場にいるカニみたいよ!」は、彼を形容するのにかなりいい台詞。

そしてなにより、Mia Goth演じるガビの胸糞悪い恐ろしさが最高だった。眉のない顔も、あの子どもみたいな喋り方も高い声も、とにかく全てがどハマりしていた。
私の中で、Elle Fanningが出てる映画って大概彼女を観るための映画になると思ってるんだけど、その流れで言うとインフィニティプールはMia Goth観るための映画だったと思う。本当に彼女は最高だった。
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