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インフィニティ・プールのMYNAMEISSHINGOのネタバレレビュー・内容・結末

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

父親の方のクローネンバーグの作品って、理解とかの次元を飛び越えてしまっている印象があり個人的には苦手で、
その息子の作品は本作が初めてだけど、変態親子であることはまあ間違いないと踏んでいたので、息子の作品もそういう作品だろうと勝手な想像をしておりあまり期待していなかった本作だけど、すみませんかなりよかったです。

クローンというSF的な要素はあるけど、物語の筋となるところは、とんでもなく嫌な金持ち集団の悪趣味(悪趣味の域超えてる)な道楽に足を突っ込んでしまって自他共に制御が効かなくなってしまった主人公(こいつはこいつで大いに問題ある)。というある種現実的で人怖的なプロットであり、映画としてはかっ飛び過ぎているわけではなく割と理解はしやすい映画なのではと思った。
それにあっという間に事が起きてテンポよく進んでいって全く退屈させない作りもよかった。

とにかくあの集団の不快感がすごくて、その中のミアゴスの存在感が圧倒的だった。
何を考えているのか全く分からない、感情を読めないし話も通用しない感じのやばい人感、でも妖艶で引き込まれてしまう感じのあのキャラクターはすごかった。
ミアゴス以外の人たちはいい感じにヘラヘラしたゲスな感じがあって、ミアゴスとはまた違うベクトルだけどとても嫌だった。
最後に全然ケロッとしていて全く罪の意識とかがない愉快犯な感じが生々しくて嫌だったし怖かった。

ストーリーとはあまり関係ないが、時々差し込まれる映像は、監督の趣味全開だな〜と思いながら観てました。クローンが生成される時の映像はかっこよかったけど、トリップした時(だったかな?)の映像はなかなかエログロでグチャグチャした感じでなんなのかよく分からないけどキモかったです。
それとこの監督はバイオレンス描写がパワフルでそこも趣味を感じた。

オープニングとエンディングもかっこよくて自分のセンスを惜しげもなく作品に反映させて、作品にまごうことなき個性を持たせている感じがクローネンバーグの血と名前を継いでるだけあるな〜と思った。あの父親あってのこの子でありこの作品ですね。
(エンディングに制作会社?配給会社?の宣伝が永遠続いた時はちょっとつっこみそうになったけど。)

なんじゃこりゃ?と思うのは演出ぐらいにとどまっていて、観てる側を置いていっちゃうような映画ではないと思うので、クローネンバーグ御大に苦手意識がある人にもぜひ観てみてほしい作品。
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