とりん

丘の上の本屋さんのとりんのレビュー・感想・評価

丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)
3.6
2023年94本目

イタリアのある街にある小さな本屋さんを舞台に人との繋がりを描いている作品。
ご老人リベロが1人で営む本屋さんには、いろんな人がやってきては本を探したり、売りにきたりする。
各々に深く焦点が当てられることはないけれど、言葉の節々でこの人はこういう人なんだなと感じることもできる。
そんな中訪れる根っからの本好きな少年エシエンは本を買うお金がないけれど、リベロは来るたびに本を貸してあげていた。最初は漫画だったが、ピノキオやイソップ物語、白鯨と世界的に有名な小説だったりに変わり、やがてエシエンが医者を目指すことからそれに通ずる本を貸したりもする。

本は自由に読んで良い、読む本は自分で選ぶというように、この本は誰が読むべきというのはあるかもしれないが、本来どの本を誰が読んでも良いものだ。
この作品の中でもこの本はどうだと言う人も出てくるけど、結局は人それぞれで、自分にとっての大切な本や今必要な本、あるいは暇つぶし程度かもしれない一冊を選んでいく。
それぞれの話を掘り下げても良いが、このくらいライトに描いてくれた方がとっつきやすいのかも。リベロに焦点は当たっているが、そこを中心にあの本屋に訪れる全ての人に焦点が当たっているようだ。
作中の中でもスマホやインターネットという言葉が出てくることから時代背景は現代だけれど、本を読む大切さと言うのは変わらない。
本が結んでくれる人との繋がりを温かく描いた作品だった。
とりん

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