コーディー

PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイのコーディーのレビュー・感想・評価

4.0
1933年、京城。日本統治からの独立を企てる抗日組織を炙り出す為、とあるホテルに集められた5人のスパイ容疑者。
エリート警察官や暗号解読員、政務総監秘書など様々な地位に就く者たちによる一触即発の心理戦が繰り広げられる中、朝鮮総督府の執拗な監視という窮地を脱し大義を成すのは誰か…
緊張の途切れない駆け引きと怒涛の展開にヒリヒリw
いや〜面白い!

〝幽霊〟と呼ばれるスパイを巡っての諜報戦=密室劇、だけでも十分見応えあるのに、そこからエンタメアクションもしっかり機能させる。更にはそんな緩急の効いた展開の中で人物それぞれの思惑や感情を重層的に描き物語を紡いでいく…もう手際がエレガント過ぎるしw豪華な俳優らの演技にも漏れなく翻弄された!

民族のアイデンティティが奪われ日本への同化を強いられた時代って事で、劇中交わされる言語もほとんど日本語。なのにとても聞き取り易くて、俳優さん達大変だったろうな〜って思う。
また、日本統治時代の近代的な街並みや人々のファッション、時代を映す美術の説得力も素晴らしかったし、ある拠点として登場する映画館やホテルの装飾など作り込まれた世界観が没入感に繋がっていた。

錚々たるキャストもそれぞれが魅力を発揮していたし、中でも男たちとはまた違う目線で時代を生き抜く二人の女性を演じたイ・ハニとパク・ソダムの〝しなやかに、けれど頑固に…〟な佇まいが目に焼き付いている。

極上のスパイ映画でした。