Kaji

PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイのKajiのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

暗いトーンの中に赤と緑を差し色に入れる画面構成の美的なセンスに気品あるスパイサスペンスからアクションへのスイッチが展開して「映画見た!!」って目の満足度高かった。

抗日活動家の情熱、暗号のカットのテンポの良い前段からアガサクリスティ作品のような密室での「誰がユリョンか」の心理戦は疑惑と裏切りが交錯してここかってところでダイナミックなアクションへ。ただただ鮮やかだった。

各キャラクターのアイコンショットもファンにはたまらないのばかりで。
炎越しのパクソダム
クラシックにタバコの火を交換するイハニとイソム、
ハードリカーで傷を消毒するソルギョング、、
「はなちゃん」の発音が完璧なソヒョヌ。
手袋ギュギュっのパクヘス。

私、たくさん韓国作品観てきてほんとに良かったとこんな癖に刺さる画面に出会えるなんてとおいおい泣いてしまいそうでした。

「お嬢さん」で愛の方は完璧なのがあるからと女性の共闘、友情も愛情もあるけど性によって特別な関係にならず、あくまで独立という理想を共有する者同士の強い繋がりを女性で表し、男同士がバチボコやってる間に脱出する姿はカッコよかったし、
男性で表した当時の日朝ハーフの複雑極まる内面を表したソルギョング、親日という現在に至るまで尾を引く処世を選んだ軍人をパクヘスが演じ、植民地主義と時代、ジェンダー、社会批評、歴史解釈を存分に落とし込んだ力量も今作の白眉であります。
Kaji

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