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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビーのSQURのレビュー・感想・評価

3.0
全体を通して見ると面白いのだが、時々ギャグが臨界点を突破しており、誇張されすぎ、寒いの域に達しているところがあったと思う。
また、映画や漫画的なもののパロディや言及、オマージュがあけすけに取り入れられているところは魅力ではあるのだが、その境界線のコントロールが上手くいってない。具体的には、ラストシーンの決戦前のやり取りがその煽りを1番強く受けており、今まで散々パロディや"こういうのあるよね〜"のオタク共感ノリをやってきてしまったがゆえに、「どこまで本気で楽しめばいいのか」分からなくなってしまっている。いや、熱いんだけど、「こういう熱い展開ってあるよね」と思って楽しめばいいのか「熱い!」と素直に乗っかればいいのか。鑑賞者の立ち位置がブレてしまう。逆に登場人物たちがそういう場面でちょっとパロ的な発言(例えば「俺たちの関係って受胎九相図みたいだよな」とか)一言でも入れてくれるとどの位置から楽しめばいいのか分かっただろう。
また、小道具で漫画などを部屋にそっと置いておくのは、オタクとしてはついついタイトルを確認してしまうので楽しくはあるのだが、実際に描かれている主人公たちのキャラクターとうまく連結させられていないようにかんじる。つまり、この漫画ほんとに読んでるの?って思ってしまう。目配せは十分だが、生活感が足りない。

「べいびーわるきゅーれ」「最強殺し屋伝説国岡」「グリーンバレット」「べいびーわるきゅーれ2」と流れを追うと、どれも社会に上手く馴染めない人たち、雑に言えば社会的弱者に焦点を当てて来ているが、その中でもテーマ的な変遷が見えてきた。
というのも、べいびーわるきゅーれと国岡では弱者vs敵という単純な構図で、敵はアクションの装置でしかなかったが、グリーンバレットでは社会的弱者vs社会的強者といった構図が明確に作られていた。そのうえで本作は社会的弱者vs社会的弱者といった構図となっている。
のだが、その構図だったらもっと同類であることに起因するやり取りを盛り込んで欲しかったように思う。一応、「殺し屋協会に所属していたらいい殺し屋になっただろう」や戦闘後の団欒でのやり取りなど相手の人間性に対する言及もなくはないのだが、ドラマとしては物足りない。特に、金銭的な部分はここまで作劇の中で話題にし続けていたのだから、ラストの対峙シーンではしっかりと向き合って欲しかった。

アクションシーンについては、グリーンバレットでの進化を引き継いでおり、アクションの合間合間でキャラがたつような描写が挟まれていてドラマの枠内で楽しめるものになっていたと思う。
あと着ぐるみのガチバトルは絵面が純粋に面白くてかなり良かった。

パロディについては、『スタンド・バイ・ミー』のサンプリングが1番笑った。というのも、純粋にこのシーンがスタンド・バイ・ミーのサンプリングと言うだけではなく、昨年同シーンをサンプリングしたアニメ『リコリス・リコイル』のオマージュにもなっており、同じような仕事や関係性の2人なのに、お前は乗ってやらんのかい!と言った感じでかなり笑えた。
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