ぬばたま

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビーのぬばたまのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ベイビーわるきゅーれ2の素晴らしかったところ、「新規キャラを魅力的に見せる」と「既存キャラをもっっっと魅力的に見せる」を両立しまくってるところだと思いました。

まずは新規キャラについてですが、めっちゃ良かった。私は第1作のまひろと渡部のバトルシーンが本当に好きで、あのシーンよりアクションの威力が下がってたら…と心配をしていましたが、全くの杞憂でした。丞威さんすごすぎる…濱田さんも子役時代のイメージが強かったのですが、明るくも悲しい演技とアクションで素晴らしかった。
また、今作はちさまひの掛け合いでギャグを、そして神村兄弟でノワールを濃くしている印象を受けました。神村兄弟や赤木の、ソース不明なガセを信じちゃうところや、赤木の死に方、部活の延長戦のノリで殺しをやっちゃうところ…
ちさまひの金欠エピからも感じられましたが、2020年代の世知辛さを強く感じました。役者陣の表現もありますが、監督がお若いこともあって、かなりリアルに表れていると思います。
ラストは胸が苦しくなりました。幸せになれる未来があったと思うのに…でもこれは神村兄弟が、そしてちさまひがそれぞれ一生懸命生きた結果だと思います。

そして、既存キャラについてですが、
・ちさまひと兄弟の対比
 序盤に兄弟が襲撃するシーンで、狭い部屋の中で、暑苦しく、もみくちゃになって戦うシーン(ごちゃごちゃしてるのに自然と誰が誰か判別がついた、アクションの方とスタイリストさんのお力がすごく出てるシーンではないのかと思います)がありますが、その戦い方はあまりスマートなものではないなと思います。しかし、その後ちさまひが銀行強盗を相手にするシーンでは、より広々とした空間で戦っているのもありますが、なんてスマートで、洗練されたアクション!特に二人がハンドサインでコミュニケーションを取ってるシーンでは、プロの殺し屋としての高いスキルと二人が積んできた高い経験値を垣間見ることができました。
 また、最終決戦のあとに、4人で笑い合っていたのに、須佐野からの電話を受けて兄弟を殺すシーンで、ここで絆されて協会に入れるよう斡旋するとかあるかなと思ってしまうんですが、ちさまひはとにかく冷静に引き金を引くところが、二人が「殺し屋」として生きてきて染み付いた習性なのかなと思います。(殺し屋としての生き方が染み付いているという点では、銀行強盗であまりにも冷静なちさまひとパニックになっている一般市民の対比で、「死ぬかも」という状況に対する慣れと危機感の違いがわかりやすいなと思いました。)

・殺し屋協会と下請け
また、今回ちさまひと同じくかなり解像度が高くなったなと思ったのは殺し屋協会の面々です。田坂や宮内といった掃除屋は多くの人が感想で取り上げているのを見ましたが、私は須佐野が本当に怖くなりました。1ではちさまひを監督するおじさんのイメージだったのですが、今作ではそのマネジメント能力、そしてやはりこの人も殺し屋協会の人間なんだとわかる冷徹さ…

これは全てのキャラクター、そして作品に言えることですが、阪元監督は本当に登場人物を「人間」として深めていくのがお上手でいらっしゃるなと思います。「女子高生」や「殺し屋」といった記号ではなく、リアリティがある描写をされていて、私はそれが大好きです。

本当に見て良かった。
まだ1回しか見れてないので、あと何回かは見に行きたい。
ぬばたま

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