真っ黒こげ太郎

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビーの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

4.5
ただいま、殺し屋生活。

殺しはピカイチ。暮らしはイマイチ。

続編でも、ボンクラ指数満載なのは変わりません。w




殺し屋ボンクラ女子の杉本ちさとと深川まひろのコンビ。
社会不適合な2人は、ジムの会費やら殺し屋保険のプラン変更やら自動車教習所代やらで金欠気味。
しかも、紆余曲折あって強盗を持ち前のスキルで退治しちゃった為に、殺し屋家業も停職処分になってしまう。

バイトしながら食いつなぐ2人を、殺し屋アルバイトのゆうりとまことボンクラ兄弟が狙う。
2人はアルバイト故に満足に生活できず、「ちさととまひろのポストを奪えば正規の殺し屋に昇格できる」という噂を聞き、命を狙う。

お互いに不景気な現代社会で四苦八苦するボンクラ殺し屋コンビ。
殺し屋コンビ同士の壮絶な戦いが始まろうとしていた…。




社会不適合者なボンクラ女子殺し屋コンビが社会に馴染もうと頑張ったり、ボンクラ男子殺し屋コンビと死闘を繰り広げたりする、青春ほのぼの殺し屋アクション映画。
絶賛され高評価を得たインディーズ殺し屋アクション「べイビーわるきゅーれ」の正当続編。
(タイトルが某バッドボーイズっぽいのはご愛敬)

何となく近所の劇場で流れたので見たら、予想以上に面白かった掘り出し物アクションだった前作。
続編もこの度公開されたので、見に行ってきました。
(訳あって見るのが公開終了間近になってしもうたが、危なかった…。)




続編となる今作は…

ゆるさも、

ボンクラっぷりも、

アクション指数も、

大幅アップ!!!!!!!!!


ボンクラ感満点の日常も、個性出まくりな連中も、アクションの量もパワーアップした、見事な続編に仕上がってました。
個人的には前作よりも、気に入ったぞ!!!


本作はストーリー自体は前作からそこまで変わっておらず、主に殺し屋女子2人が社会に溶け込もうとする日常が描かれ、その間に敵側の殺し屋男子のドラマも描かれ、最終的には2組の物語が交わってドンパチするという、「前回のヤクザを2人の殺し屋に変えただけじゃん!!!」と言われそうな内容。w


しかし、今回は「敵側が同じく社会不適合者な殺し屋兄弟コンビ」に変わった事で、ドラマのボンクラレベルが倍増。w
敵役となる殺し屋兄弟はアルバイト扱いで間を取り持つ人がヘマして給料が貰えなかったり、片割れが行きつけのお店の女の子に片思いしてたり、殺しの家業の際に2人でスポーツ漫画の如く「「勝つぞー!!!」」とやる気を入れたりと、主人公2人とは別ベクトルでボンクラ解像度が高い。
こいつらの物語だけでも存分にスピンオフとか出来そうである。w

そんな2人が同じようにボンクラな女子の殺し屋コンビと生死を賭けた戦いを繰り広げる事になり、お互いにシンパシーと言うか似たものを感じる。
戦いの後にお互いにボンクラ満載な掛け合いをする4人の姿は前作の「ボンクラでいいや!」的なまとめとは違うベクトルで染みる。
そして、そのラストも予想通りながら中々に切ない。
(しかし、同じく社会に適合できない物同士で大暴れしたからか、最後の表情がスッキリして穏やかなのがまた良かった。)


また、前回同様に主人公の社会に馴染めないドラマも相変わらず。
色々とヘマやらかして借金&謹慎処分を喰らうわ、思わず賭け事をして失敗するわで、相変わらずダメ人間には身につままれる世知辛さだ…。w

後、私的に注目したいのが前回から続投する死体処理係の男。
コイツは主人公達に「頭を狙わないでくれません?」とか「仕事じゃないときに殺さないでくれません?」と愚痴をネチネチ言ってくるので「こいつ死なねぇかな」「職場にこんな奴が居たら絶対組みたくねぇし寧ろすぐ人事異動を申し出るレベル」と思う様なムカつく男だったのですが、今回は新キャラとして新人の後輩がいて緩和剤になってくれたり、後半でひと騒動起こしてからは彼もボンクラ指数溢れる人間であることが判明して一気に好感が持てました。
(まぁアレで死んでなかった(!?)のが分かったときは一瞬舌打ちしたがw)
最終的には「もうこっちが責任取るからやっちまえ!」的な事を叫んですっかり面白キャラにトランスフォームしてたのが良かったです。
無論、頭が冴える新人の後輩や、殺し屋協会の人も個性がしっかりしていて彼らのドラマも面白かったです。



そして前回、凄まじい切れ味で話題になったアクションも、切れ味は据え置きで大幅パワーアップ。
相変わらずインディーズ作品なので低予算感は満載だが、アクションの量も見せ場も大増量で大満足!!!

殺し屋兄弟のワチャワチャバイオレンスカチコミ、周囲の小物を生かした強盗退治アクション、着ぐるみ同士で殴り合い、そしてクライマックスのガンカタ&タイマン等、アクションのクオリティは勿論見せ場も大幅増加。
前作同様に主演2人は勿論敵の兄弟2人もキレッキレに動けて様になってるし、今回はアイディア要素を入れた小道具アクションや、マーシャルアーツ要素を入れている相手側と主人公側の対比等も取り込んで殺陣の柔軟さが更にアップ。
(やっぱり漢は回し蹴りに憧れてナンボやな!!!w)

クライマックスではジョン・ウィックもビックリな凄まじいハイスピードガン=カタに、相変わらずの鋭さと激しさでボリュームが増加したタイマンバトルが展開。
どちらも量と規模で前作を凌駕しており、そんじょそこらのハリウッドメジャー作品を凌駕するクオリティなのでアクション映画ファンは必見。

ラストの敵味方共に無茶苦茶鋭くて良い動きをする2人の対決は、思わず香港カンフー映画の名作やマーシャルアーツ俳優の掘り出し物アクション映画を見てブチ上がってた頃を思い出す程の凄まじいまでのレベルの迫力に満ち溢れた素晴らしいバトルシーンで、「これだから格闘アクション映画は素晴らしいんだよ」としみじみ思わせてくれる、見事なタイマンバトルでした。
(何回素晴らしいって言うんだ。そしてどんだけ格闘アクション映画好きなんだお前は。w)



という事で、ボンクラチーム2人のほのぼの映画としてゆるーく楽しめ、高クオリティのガンアクション映画や格闘アクション映画としても存分に楽しませてくれました。
相変わらず全体的にノリは軽いし、前回ほどじゃないにしろサブカル要素も満載なので真面目な内容を期待する人はアウトかもしれませんが、まぁ楽しけりゃいいや。w

ほのぼのとハードなアクションの温度感の心地良さは相変わらずで、前作の利点をしっかり伸ばしており、正に続編のお手本と言わんばかりの超楽しい快作でした。

近所で劇場公開されたりレンタルショップに並んだりしたら、是非とも前作と共に見てくださいな。
(まぁ、インディーズ作品なので、なるべく優しい気持ちで見てあげてね。)


それにしても、こんだけ楽しい作品を作る逸材を見逃していたとはなぁ。
阪元裕吾さんの今後の活躍に期待です。
(そういえば監督の過去作も結構なバイオレンス度数を誇る作品らしいので、チェックしてみようかな。)