ぶみ

極限境界線 救出までの18日間のぶみのレビュー・感想・評価

3.5
23名の命は、彼らに託された。

イム・スルレ監督、ファン・ジョンミン主演による実話をベースとした韓国製作のサスペンス。
アフガニスタンを旅行していた韓国人23人がタリバンに拉致されたことから、交渉にあたる外交官等の姿を描く。
主人公となる外交官チョン・ジェホをジョンミン、国家情報院の工作員パク・デシクをヒョンビンが演じているほか、現地の通訳カシムとしてカン・ギヨンが登場。
物語は、タリバンが韓国人23人を拉致、韓国軍のアフガニスタンからの撤退と、収容されているタリバン戦闘員23人の釈放を要求されたことから、まず外交官であるチョンが交渉に入るも拒絶、次に工作員であるデシクもあと一歩で決裂してしまったため、本来対立していた二人がタッグを組む羽目になるバディものとして楽しめる展開に。
何より、その二人が、もはや韓国を代表する俳優の一人であるジョンミンとヒョンビンなので、演技合戦を観ているだけでも満足いくものであるとともに、そこにコメディリリーフ的な役割となるギヨン演じる通訳が、一服の清涼剤として張り詰めそうな緊張感漂う空気にゆるい風を吹き込んでいるのも絶妙なバランス。
ヒョンビンと言えば、先日観たイ・ソクフン監督『コンフィデンシャル:国際共助捜査』が記憶に新しいところであり、竹内涼真ソックリだったのだが、本作品では長髪だったせいか、竹内味は薄め。
そして、本作品のもう一つの肝は、灼熱の太陽の下、砂漠で繰り広げられるタリバンとの交渉であり、緊張感溢れる会話劇、瞬時瞬時で決断を下していかなければならない判断力と責任感、タイムリミットに政治的決断と、ありとあらゆる要素が含まれており、一瞬たりとも目が離せず、そんな中でもアクションがしっかりと盛り込まれているのは、流石韓国作品と言えるもの。
ただ、原題や英題が『交渉』や『交渉人』といったシンプルなものであるのに対し、何だか意味のわからない邦題は今ひとつだし、ネタバレになってしまう副題も邦題あるあるで残念。
実際に2007年にアフガニスタンで起きた拉致事件をベースとしており、どこまでが実話か、どこからがフィクションなのかは定かではないが、冒頭で、あくまでもフィクションである旨が説明されたのも好感が持てるところであり、国の、いや国際社会の威信をかけて臨んだ交渉劇を堪能できる一作。

俺は運がいいから。
ぶみ

ぶみ