ハル

極限境界線 救出までの18日間のハルのレビュー・感想・評価

3.7
実話から着想を得たフィクション。
内容はタリバンと韓国の人質交渉のみに絞られており、ネゴシエーションの過酷さを生々しく深堀りしていく。
韓国にはこの手の作品が非常に多い印象。
まずは「あれ、これもしやヒョン・ビン?しかもワイルドヒョン・ビン!!」の驚きからスタート。
彼が出演しているのを知らなかったため『コンフィデンシャル共助捜査シリーズ』でファンになった身としてはテンションがあがる。

ただ、ストーリーは終始シリアスそのもの。
国としての威信をかけた交渉、自分の選択一つで23人の人質が殺されてしまうかもしれない恐怖。
一方、安易に相手の要求をのめば政府側からの圧力に潰される板挟み。
外交官チョンと現地で工作活動をしているパクはいがみ合いながらも協力してこの難問に立ち向かっていく。
傍から見ていて「こんな仕事は絶対にしたくない…」と思わされた。
1日で精神が壊されてしまうかの如く…凄まじい重圧だ。

相手のアジトで交渉なんか命がいくつあっても足りないし、頭に自動小銃を突きつけられながらのやり取り。
誘拐犯やテロリストの交渉が現実に行われていることを考えると…自然と身体が震えてしまう。

そうした中、控えめながらもヒョン・ビンのアクションは健在。
交渉で揉めた際に相手を追いかけるバイク&カースタント。
動きとしての見せ場はこれくらいしかないけれど、流石のスター感だった。
身体能力抜群でキレキレ!

『グラウンド・ゼロ』から始まった悲劇の連鎖が生み出す怨嗟による事件。
当時、類似した事案が世界にいくつも存在したわけで…言葉を失うね。
情勢が不安定なエリアへの観光は自殺行為。
物珍しさでいくならば死を覚悟しなくてはいけないなと肝に銘じました。
「アフガニスタンに観光地はない」
これぞ、パワーワードの極み。

〜東京国際映画祭〜
この日は東京国際映画祭2023に参加、豪華絢爛な映画の祭典に心も踊る。
たまたま近くにいた方々と談笑していたら、大阪から始発で来た方や毎年参加している方など属性も様々で本当に映画の“お祭り”って雰囲気。

幸運にも割り当てられたボクの立ち位置はレッドカーペットの脇。
役所広司や三浦友和らベテランに加え、亀梨和也や田中圭、吉沢亮などの錚々たる面々を至近距離で見られて感謝感激な経験でした。

ちなみに、もっとも印象に残った俳優は『月』で圧倒的な存在感を示した磯村勇斗。
ファンへの対応が神すぎた。
メディア対応の時間が決められているため、素通りする役者が多い中、彼は誠心誠意一人ひとりへ対応していた。
時間の許す限り、サインだけではなく会話も普通に応じる。
人間性の素晴らしさが際立つ姿勢。
引っ張りだこの理由は実力に加え、こうした人としての器の大きさなんだなぁと実感。
来場者はみんな彼のファンになったんじゃないかな?
最高のナイス・ガイ。

また来年も参加できる事を期待しつつ、暫くは映画祭の出展作品を楽しもうと思います。
ハル

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