Kaji

極限境界線 救出までの18日間のKajiのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

タリバンの人質となったキリスト教系宣教団23名の解放をめぐり、文化、宗教、言語、風習、全てが障壁となる交渉に挑む官僚と情報員and現地通訳。

ネタバレ押してるので、ネタバレ踏みます。

緊張とストレスが連続する心理戦の中、安易な自己責任論へ向かわせない展開に信念を感じました。
人権、人命の重さを何より優先に考えていたジェホ室長の視点はほんとにこういう局面で重要ではないでしょうか。
後追い調べでみると、ほぼ題材にした07年の誘拐事件と経緯が同じでしたし、その際には韓国内でも「状況わかって行ってたのだから自己責任、それよりもテロリストとの取引に乗る方が問題だ」という意見もあったようです。自己責任論はやはり、安全圏から見えてる面だけをみたものだとは思います。個人的にですが。



心理内面で譲れない線をはっきりさせて共有している交渉タッグは頼もしいが何しろ越えなければならないハードルが高いので目が離せません。

ファンジョンミン俳優ジェホ室長、熱いキャラクターで諦めないし、尻拭いをしてかなきゃなんなくて、しんどい所が全部ジェホ室長に集まって行くし、失敗やら悪手もあるのですが、全部名場面になるすごいバランス感覚の演技でした。
電話取るだけでハラハラするぜ。


ヒョンビン氏はロバでもバイクでもカッコいいですね。火も飛び超えてましたね。
今回はけっこうワイルドめな役でやっぱりかっこ良かったです。
万が一お会いする際は防弾チョッキを脱いでいきます笑 本気だからさ。


この映画のクライマックス、イムスルレ監督らしさが炸裂していたのは国際社会における韓国の立場の弱さを強みに換えてギリギリの交渉をした駆け引き。
テロリストを前に一歩も引かないのは退路ないから、ではなく持っていない事も強さにできる両輪外交術を緊迫したワンシーンで見せてしまうベテランの演出手腕と社会批評性もさることながら、
いつも弱さと強さ、疲労と再起を往来するキャラクター達からは、どれだけ作品の質感が違っても共通点を発見できて、後発作見れば見るほど、監督の初期作がわかるようになってくる思いです。常に次が観たくなる人です。イムスルレ監督、、
Kaji

Kaji