最近ファッション関係者のドキュメンタリー映画が大量に制作されているが、本作はミーハーな意味でも楽しかった。『ヴォーグ』の花形ジャーナリストといえば、当然そういう側面もあると思うので。
南部で祖母に育てられたアフリカ系アメリカ人のタリーが、ファッションの世界で活躍するのはやはり簡単なことではない。そういうことを、わざと耳に入るように言う差別主義者はファッション業界にもゴロゴロいる。知的に洗練されていない人も着飾るのかと、うんざりしてしまう。
思想的には真っ向から怒りを感じても、それとは別にファッションだけを評価すること。これは、映画の世界でも評論で時にやらなければいけない場合はあると思う。でもこの区別がつかない人が多い。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの精神の人に、この映画のクライマックスは観てほしい。