ブルームーン男爵

アンドレ・レオン・タリー 美学の追求者のブルームーン男爵のレビュー・感想・評価

3.7
名門ファッション誌の「VOGUE」において、アフリカ系アメリカ人として初めてクリエイティブ・ディレクターを務め、エディター・アット・ラージに就任してアナ・ウィンターの右腕として活躍した、伝説の黒人ファッショニスタであるアンドレ・レオン・タリーのドキュメンタリー。

まだ差別の色濃い米国南部出身でありながら、自身の才能によって、人種を乗り越えて立身出世する様はまさにアメリカンドリームである。様々な人種差別もありながら、自身の才能で道を開拓した彼は伝説的な存在だ。

彼はフランス語に堪能で、学業にも秀でており、奨学金でアイビーリーグのブラウン大学院を修了している。神は彼に学業とファッションという二物を与えたもうたようである。

アンドレ・レオン・タリーの人生と彼が残した数々の業績を語るのは、マーク・ジェイコブス、アナ・ウィンター、トム・フォード、イヴ・サンローラン、カール・ラガーフェルド、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ、ウーピー・ゴールドバーグ等の面々だが、それだけで彼の凄さがうかがい知れるだろう。

そんな彼は73歳(2022年1月18日)で逝去した。深く御冥福をお祈りしたい。しかし、彼の切り開いた道は続いていく。これこそが彼の”生きた証”である。