まちゃん

岸辺露伴 ルーヴルへ行くのまちゃんのレビュー・感想・評価

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)
3.9
荒木飛呂彦ほど個性的で独特な世界観を持つ漫画家は殆どいないだろう。この作品の大元の世界は「ジョジョの奇妙な冒険 第4部」の杜王町だ。例え現代日本を舞台設定にしても荒木飛呂彦の味というものは色濃い。そのまま実写化すると違和感が出てしまう。しかし、現実的な描写にしてしまうと荒木飛呂彦の世界観が消えてしまう。この作品を含む実写版「岸辺露伴」シリーズはそのバランスが絶妙で感心する。奇人ではあるが芸術家としては存在してそうな主人公・岸辺露伴のキャラクター。彼の能力、ヘブンズ・ドアはもちろんあり得ない能力ではあるが抑えられた映像表現で現実社会を舞台とする物語のトーンを毀損しない。完全なファンタジーやSFとは毛色が違う。平凡に見える世界を侵食する怪異。それによって日常が少し「奇妙な」味わいを持つ。それがこのシリーズの魅力だろう。今回の作品では「この世で最も黒く、邪悪な絵」を追い求めてルーヴル美術館へ向かう。映画版に相応しく豪華なロケーション。大画面でルーヴル美術館を体感出来るだけでも贅沢な体験だ。そして明かされる謎。異色のミステリーとして一見の価値がある作品だ。
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