あらきり

岸辺露伴 ルーヴルへ行くのあらきりのネタバレレビュー・内容・結末

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

本当に面白かった〜〜〜〜!!!!!
TV岸辺露伴、原作コミックス履修済
原作と共通してあったテーマが過去なんだけど、過去を後悔か罪か希望なのかどう捉えるのかは人次第、ということを教えてくれる映画だった。
露伴の過去と今が行き来する構成で、今(日本)→過去→今(ルーブル)なんだけど、今や様式美となった2人組に露伴がいつもの理屈を言い、ヘブンズ・ドアーを仕掛け、岸辺露伴は変人で不思議な力を持っていることがわかる掴みは流石だなぁと思った。今回は怪異よりもミステリー色が強めで、黒い絵を巡り露伴が本物の黒い絵を追い求めていくことで真実にたどり着く構成が凄かった。
黒い絵(オマージュ)と黒い絵(本物)の2種類は原作にはない要素で、黒い絵(オマージュ)を露伴がオークションで落札してから黒い絵(本物)にたどり着く展開がルーブルの複製OKのルールを絡めた上手い導入だった。黒い絵(オマージュ)は七瀬の髪と本編通して見られる蜘蛛で、見る側の視点を引き付け、黒い絵(本物)の正体を明かされた瞬間を引き立てていたと思う。黒すぎて、アップになるまで見る側が分からないタメも最高。
過去編の若露伴が七瀬に惹き付けられながらも、彼女を傷つけてしまったことにショックを受ける表情がとてもよかった。漫画家としてスタートしたてで、漫画で人を傷つけてしまうことに慣れてない露伴可愛いね。あと露伴祖母のリアリティが凄い。サングラスもそうだけど、羊羹を食べる時ようじをぺろぺろ舐める所とか血筋...を感じるポイントだったし、続くルーブルで露伴も同じグラサンをかけるの、血縁関係というか何となくそういうの好き。あと高橋一生が似合いすぎる。
過去に七瀬を傷つけてしまったことを忘れてと言われても忘れきれずルーブルに行くけれども、ルーブルで出会う人たちはみんな露伴と同じような過去を抱えた人たちで、黒い絵(本物)を見た事で、先祖や過去の後悔に殺されていってしまうシーンはとにかく壮絶だった。目の前に人が居ないのに首を絞められたり溺れる演技が上手すぎる...。原作では死んだエマが黒い絵(本物)の被害を受けなかった泉ちゃんに慰められるのは、過去や後悔に押しつぶされる(物理的な死)こともあれば、他の人で押しつぶされずに済むこともあるっていう救済があるの良かったな。
個人的に仁左衛門と七瀬のシーンめちゃくちゃ好き!!!!!!!!!!!
武士やってる高橋一生!!!整った髷も乱れた髷もどっちも好き!!!引っ越し大名で武士の高橋一生が好きになった身としては仁左衛門もやってくれたことがやった〜〜〜!!!ってなってた。露伴に襲ってきた過去は御神木を斬る仁左衛門だったわけだけど、高橋一生が演じたのってつまりああやって罪を犯してでも理想の絵を描いてしまうかもしれない(すでにギリギリだが)岸辺露伴のもうひとつの姿でもあるんじゃないかと思う。仁左衛門の絵への執念はもはや家に戻り七瀬を助けることではなく、理想を絵のために罪を犯すことを優先してしまった仁左衛門自身の後悔も襲いかかってきていたと思う。それを寸でのところで止めたのは、露伴の先祖の七瀬だったし、子孫が過去を知ってくれたことをとても嬉しかったのではないか。この仁左衛門と七瀬の関係、読んだら傷つけてしまうかもしれないと昔は躊躇した露伴が七瀬を読んだことで答え合わせになったのは原作から映像にする上での再構成が光ったな〜〜と思う。
実写岸辺露伴は動かないはいつもいつも原作再現とオリジナルの塩梅が最高。
NHK発なので金ローとかの放送が今後難しいんじゃないかと思い、公開終了までにもう一度観ておきたい!!!!!岸辺露伴最高!!
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