月うさぎ

岸辺露伴 ルーヴルへ行くの月うさぎのレビュー・感想・評価

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)
4.0
大変楽しませていただきました。漫画原作の実写にありがちの失敗は無く、オリジナルからの脚色も理解できる改変、役者さんのキャラクター理解、映画ならではの景観の美しさなど、原作ファンからもよくできました💮がつくのではないでしょうか?

ドラマは元よりジョジョ・シリーズも第5部だけしか読んでませんでしたから岸辺露伴というキャラクターのことは映画で初めて知りました。
でも映画を観て即原作漫画を読みましたよ。倍楽しんじゃいました♪

ルーブル美術館が行なっている「バンド・デシネ プロジェクト」参加作品であり、フランスで刊行された作品「岸辺露伴ルーブルへ行く」を実写映画化。
ルーブル美術館内でのロケの許可も。
という情報にまず惹かれました。

岸辺露伴というネーミングにも(泉京香なんてまんま泉鏡花だし)、主人公が漫画家であるという設定にも興味を覚えました。
私は漫画のファンとは言えないけれど荒木飛呂彦さんの画力の凄さには常々驚嘆しています。
先人の画家へのリスペクトを感じさせる本物志向の絵ですよね。
ルーブルもそこを評価しているに違いないです。

ルーブルに展示された壁画サイズの絵ときたら、ミケランジェロの「瀕死の奴隷」ですよね!(ルーブル美術館所蔵作品です!)


ドラマからの映画化作品でもありますが、渡辺一貴監督は本作が映画デビューだそうですね。カメラアングルも含めた映像美には、映画クオリティを感じましたし、美術的にも演出的にも、ホラー要素はあるものの上品な印象で、好みでした。
音楽も今流行りの曲でウケ狙いも無く、雰囲気重視で良いですね。

岸辺露伴がモナリザと並んでいる映像OKにも驚きましたし、誰もいないルーブルの巨大さや建築美にも圧倒されました。
本物観てるはずなのに、建物の印象、こんなに巨大に感じなかったです💦

しかし回想の岸辺露伴の日本旅館のシーンの美しさはルーブルより優っていたと思いました。
緑滴る日本庭園の自然な姿。
しっかり手入れされた日本家屋の落ち着いた佇まいには、オーラさえ漂っているようで
懐かしく見慣れたようで別世界のようでもある
そんなニュアンスがとても良く表現されていました。

ロケ地に選ばれたのは、会津東山温泉の老舗温泉旅館 「向瀧」
国の登録有形文化財、源泉かけ流し風呂認定の温泉宿です。

奈々瀬(木村文乃)が下宿してた部屋は「菊の間」。洗濯物を干していたシーンは「桔梗の間」だそうです。

東山には瀧や滝の文字のついた宿がたくさんあるんですよね。
同じ福島県の土湯温泉にも向瀧という宿もあるので、行きたいと思った方はお間違いなく。

会津武家屋敷でもロケを行ったらしく、もはやこの映画は「岸辺露伴 会津へ行く」だという説も😆

映画のパンフレットは売り切れみたい。でも荒木飛呂彦さんのイラストカードをもらえました!


(参考)
【「バンド・デシネ プロジェクト」 概要】
「バンド・デシネ プロジェクト」とは、2005年よりルーヴル美術館がFuturopolis社(出版社)と共同で行っている、漫画のアルバムコレクションを作る企画です。プロジェクトの依頼を受けた漫画家は、ストーリーの中心となる作品、コレクション、展示室などを選び、ルーヴル美術館をテーマとした作品を自由に制作します。
ルーヴル美術館のプロジェクト担当者からの「日本の漫画家にも参加をして欲しい」というオファーで、日本の漫画家として、ただ一人、荒木飛呂彦氏のプロジェクトへの協力が決まりました。2009年1月22日から4月13日まで、ルーヴル美術館で開かれたテーマ企画展「小さなデッサン展-漫画の世界でルーヴルを-」にて、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』のカラー原画が展示され、2010年4月にはフランスで『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を刊行し、現地で大きな反響を得ました。
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