このレビューはネタバレを含みます
ドラマのときもそうでしたが、しっとりと緑に押し隠されるような洋館、古民家の映像が素敵でした。高橋一生さん演じる露伴先生の危うい好奇心にはらはらとしながらも目が離せません。
オチは表面的に見れば理不尽なオカルトホラー……とも思えますが、悍ましいまでの黒を覗くとき、突きつけられるのが「過去」というところは、観終わったあとも反芻したくなる含みがあるなぁ、と。
「綺麗な人でしたね」と、罪業の有無の問題ではなく、過去を毛の一筋たりとも後悔しない泉だけが、真っ直ぐにあの絵を見つめていたことには、一瞬ぞくっとさせられつつ、最初の最初、彼が、伝えたかった奈々瀬の美しさを正しく受け取ってくれた人がいたことは仁左衛門にとっても救いになったのではないかと思いました。