脳みそ映画記録

岸辺露伴 ルーヴルへ行くの脳みそ映画記録のレビュー・感想・評価

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)
2.5
この世で最も黒いパンフレットを知っているか?
劇中の絵のごとくパンフレットも真っ黒です。
タイトルは加工で浮きでているので、黒の中でも光の反射で見ることができます。
まぁ、もしかしたらもっと黒いパンフレットもあるかもしれませんね。

 そもそも物体としての色は物体から反射された光の色です。
 つまり、バナナは人間の可視光のうちの黄色を反射し、それ以外は吸収しているから黄色にみえるのです。可視光のうち黄色を意図的に取り除いた光を当てればバナナは別の色にみえるでしょう。
 黒は殆の可視光を吸収します。(吸収された光が熱になるので黒い服はあつくかんじるのですね。)
 黒い物体が視えるのは、全ての可視光を吸収しているわけではないからです。全ての可視光を吸収することができればそれは最も黒い黒と言えるでしょう。
 しかし、その黒はもはや視ることもかなわず、中に何が存在していても観測者は視えないのです。光を吸収し続けたそれはどうなるのでしょうね。クトゥルフ神話の中に『宇宙からの色』という話があって、(ニコラス・ケイジ主演の映画も作られました。)それは色自体が仇をなす存在として描かれています。
 仮に完全に黒い絵があったとしてたとえ、邪なものが潜んでいるとしてもおかしくないわけです。

 岸辺露伴は荒木飛呂彦の人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の登場人物で、本作における岸辺露伴はそのスピンオフドラマです。
 ジョジョの三部以降の特殊能力の代名詞スタンドはここではギフトと呼称されています。スピンオフドラマが成功した理由としてこのスタンドを描かなかった点におけると思います。スタンド自体は漫画的なデザインで実写化するにあたり、現実から乖離しすぎてしまう。その点を現実に繋ぎ止め、『少し不思議』の範疇に納めたのがとても良かったです。
 また、編集女性を主人公のバディ役にあてがった事により、説明的な独り言も彼女への説明ということで不自然なく組み込め、かつ脳天気な女編集者と意固地で変わり者の漫画家というバディものの形態を組む事ができてすごく良いです。この凸凹バディが不思議な事件に挑むという、王道で面白くなる構図ですよね。

 『ルーヴルへ行く』は基本的にはテレビドラマ以上のクオリティはなく、ルーヴル美術館での撮影に予算の大部分が注ぎ込まれてているのではと考えられる出来です。映画化することによって回収を図りたかったのでしょう。予算のかかりそうなカットは見えなくするなど、うまいこと工夫と編集していますが、その制作過程への想像が視聴中のノイズになって少し残念でした。

岸辺露伴は懺悔室も海外ロケできますよね。
期待しています!!!