おきみやげ

岸辺露伴 ルーヴルへ行くのおきみやげのレビュー・感想・評価

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)
4.5
実写『岸辺露伴』シリーズの魅力は世界の裏側に沈んだ神秘を岸辺露伴の背中から覗くように体験できる事だと思う。岸辺露伴を天才たらしめる傍若無人さに『ヘブンズ・ドアー』、この二つが岸辺露伴を主人公たらしめつつも、禁忌たる神秘の前では一人の人間として晒される危うさが観客の没入度をグッと引き上げる。これらエッセンスがたっぷり詰まった映画。
“ルーブルにある”という要素はまさにルーブル美術館が持つ権威が絵画の底知れなさを押し出してくれるし、実際に画面で展開されるルーブルで撮影された映像はこの説得力を強くしてくれている。オークションに電話で参加している人の描写や美術館で警備員でなく消防士が同行するシーンなどと同様に作中で繰り返されるリアリティに対する真摯さの最たるものの一つだと思う。
『岸辺露伴』シリーズが出してくれるものとして、また一本の映画として、どちらの観点から見ても魅力的な一作だった。