柏エシディシ

ストーリー・オブ・フィルム エピソード12. 世界の映画製作と抗議の柏エシディシのレビュー・感想・評価

4.0
1980年代。
前回ep.11が大衆映画の拡大がメインだったので、アメリカの娯楽映画の時代に突入か?と思いきや、視点はグッと拡がり世界中の革新的映画作家たちの活躍を取り上げていく。シリーズ中で最もカバーエリアが縦横無尽な回では。
中国の検閲に抗ったチャン・イーモウとチェン・カイコーの「黄色い大地」
ソビエトの「炎628」「懺悔」
ブルキナファソのガストン・カボーレは浅学の為知らなかった。
同時代の横軸にだけに収まらず、映画史の縦軸でも鋭く分析していく。
キェシエロフスキ「殺人に関する短いフィルム」に潜む「サイコ」
スパイクリー「ドゥザライトシング 」に見る「第3の男」
カラックス「ポンヌフの恋人」と「巴里のアメリカ人の対比」
この時代になると、日本にもミニシアターやVHSの普及で多くの映画が広く観られる様になった時代。
グリーナウェイやジャーマン、クローネンバーグまでも紹介されるが、あの人は?この人は?となるし、また、登場する監督たちの作品もさすがに1.2作でなかなか勿体なく感じる様にもなる。仕方がないけれど。
ただ自分のリアルタイムの鑑賞作品になればなるほど、こういったマクロな視点で映画を括って観ることは無いし、こちらも思いもしなかった映画同士のシンクロニティに気付かせてくれる視点の提供は、やはり刺激的で面白い。
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