新部長、黄前久美子の初仕事。なかなか他者に踏み込むことがなかった人であったとしても、役職を割り振られたからには変わらざるを得ない。利害関係の調整、うまく行っていない人のフォロー、気配り心配り。吹奏楽部のトップとはいえ、基本的には調整役。誰よりも俯瞰して物事を見てきた久美子でも、それはもうから回ってしまう。でも、「窓を開けること」が得意な久美子だからこそできることが必ずある。部長としての更なる活躍を期待させられる1時間。
窓、段差、ちょっとした舞台立てを使いながら心情や性格を描写して行く演出見本市が見られただけでも十二分にユーフォを見ているという気になる。久美子と麗奈の関係が過去のどこよりも成熟してとんでもないことになっているのも嬉しい。だがそれ故に、音楽の部分をもっと見せてほしかったという気持ちがないと言えば嘘になる。次の曲に向けて力を蓄えていってくれていることを期待しているし、信じている。
