思っていた以上にちゃんと面白かった。
久々の劇場京アニ作品だし何より『響け！~』だし、期待していなかったわけはないんだけれど、60分の中編でありどちらかと言えば来年の３期に向けた前座的モチベーションで捉えていたので、想像以上の満足感に少し驚いた。
どんな作品でもそうだけれど、これくらいの感触で劇場出るのが一番気持ちええな。
特に、TVアニメ版でもたまにあった小ギャグみたいな可愛さと抜けの部分が、結構短尺の中に詰まっていたような印象が強かった。それによりオーディションの緊張感はありつつも終始愉快な気持ちで観られたことが満足度的に大きかったと思う。
なかでも小憎たらしいキャラな奏の可愛い動きや、犬猿先輩らの微笑ましいいがみ合い、みぞれ先輩のホラー登場など、所々デフォルメされた『響け！』らしいアニメーション表現が、尽きない見所を提供していてとても面白かった。
そしてアンサンブルのテーマでもあった「呼吸を聴く」ことを中心とした小編成の調整は、小回りの利くシナリオで久美子の部長としての働きぶりと奏者としての成長、麗奈との関係など色々な表情を見せてくれた。
窓を開けるのが上手な久美子が呼び込んだ風は、はたして部内にどんな旋風を巻き起こすのか。
ともかく、作品としても部長としても息継ぎのような本作によって、３期への期待は増すばかり。純粋に「楽しみ」で透き通った空気を胸いっぱいに吸い込むことができた。
