CHICORITA主任

大雪海のカイナ ほしのけんじゃのCHICORITA主任のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

TVアニメシリーズの続編にして完結編となる劇場版。雪海(ゆきうみ)に沈んだ世界で、軌道樹と呼ばれる巨木を頼りに生き延びたる人々の生存を賭けた戦いを描きます。

なるほどそういうことだったのか!TVシリーズから積み残されたストーリー上の謎、そして作り手側がこの作品を通して何をやりたかたったのか、それらすべてが明快に解き明かされる文句なしの完結編でした。

端的に言えば、本作はジブリアニメ、特に『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』の強い影響下で作られており、半ば独自解釈による2作のリメイクとも言える作品でした。
中でも『ラピュタ』分が強い印象で、「あの超有名なシチュエーションをリメイクするならどうやるか?」というお題に挑んだ終盤のとあるシーンには、なるほど!と膝を打ちました。
ジブリアニメオマージュ作品は数あれど、本作のようにSF設定を突き詰めるアプローチを取った作品は珍しいのではないでしょうか。個人的には大好きな方向性なので大変満足できました。

映像面はTVシリーズ同様にフルCG、しかしキャラクター表現は手描き風のルックで違和感なし。それでいてCGアニメらしいダイナミックな映像で、アクションシーンは迫力がありました。量的にはもう少し欲しかったところです。

そして素晴らしいのが音響面!今回は川崎のチネチッタで鑑賞しましたが、おなじみクラブチッタプロデュースのLIVE ZOUND音響に、さらに映画本編スタッフの監修が入った特別版。重低音がビリビリ響くド迫力の爆音上映で最高でした。
チネチッタのカイナ推しは劇場内の装飾にも及んでおり、ファンなら思わずニヤリとさせられることうけあいです。

TVシリーズの完全な続編・ストーリー的には映画からが本番な作りには商売上の都合を感じなくもないですが、独特の世界設定と溢れるジブリ愛、迫力の映像と音響にと、劇場で鑑賞する価値ありの一本です。

ぜひとも劇場で、可能であればチネチッタのLIVE ZOUND音響でご覧ください!
CHICORITA主任

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