ハマジン

ザ・キラーのハマジンのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・キラー(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

Amazon席巻時代の殺し屋稼業ブラックコメディ、もとい零細下請フリーランスはつらいよ映画。狙撃をミスった代償に命と身内を狙われ、仕返しに関係者(と、不運にも関係したタクシー運ちゃん)を凡ミス繰り返しつつ次々と始末。挙句ネオリベ根性丸出しの投資家クライアントに「俺は“デキる”男だかんな!」とイキリ脅迫で因縁つけてのイイハナシカナーEND。延々と続くニヒリズム風ペラい紋切型の自己啓発モノローグ(『ナイトクローラー』のジェイク・ギレンホールをちょっと思い出す)も、後ろ盾のない孤立した男が精神を律するためのギリギリの防衛策だと思うと、そのすべてが不手際の末の「f**k」と「sh*t」に集約されるとこ含め、どことなく苦笑いの哀愁が滲み出る。犬に追い回されるくだりのトホホ感が個人的ハイライト。
キャラクターのフード描写が毎回抜群に上手いデヴィッド・フィンチャー。今回もバンズ抜き(!)のエッグマックマフィンにバナナ、茹で卵と「機能だけ!」な食べ物たちによって、効率よく殺し屋の性格を縁取っていた。
にしてもフィンチャーといいスコセッシといい、新作のヒッチコック傾倒ぶりは何なんだ一体。フィンチャーの場合はどちらかと言うとソダーバーグ経由のヒッチコック受容、という感じがする。というか『エージェント・マロリー』の影響力の巨大さ(この作品でのアクション実績ありきのファスベン起用だろう)を改めて思い知った。
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