まりりんクイン

ザ・キラーのまりりんクインのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
3.9
【殺し屋10ヶ条】
計画通りにやれ
誰も信じるな
感情移入はするな
予測しろ 即興はよせ
決して優位に立たせるな
対価に見合う闘いにだけ挑め
これで何を得られるか自問しろ
感情移入するな 弱さに繋がる
成功したければ感情を捨てろ
単純だ。

→失敗するんかーい!!!

この傷なら6.7分は持つだろう

→即死やないかーい!!!


全然その通りに出来てねーー!!!!!!
1ヶ条も守れてねー!!!!!

全編余す事なくカッコいい映像と編集
超クールなトレントレズナーの音楽
ファスベンダー演じる「サムライ」のアランドロンっぽい風貌の超カッコいい完璧主義の殺し屋。
超完璧な布陣が繰り広げる、渾身の真顔ドタバタギャグ。

冒頭、じっくりと時間をかけて主人公の完璧ぶりが描かれるので、その後のドタバタ展開が見事な振りオチになっていて最高。

同時に画面には常に緊張感があり、ちゃんとハラハラする。このバランス。

元はと言えば自分のミスだし、「俺は孤独だ…」とか抜かしながら殺し屋のくせに恋人とかいるのが悪い。そのせいで死ぬ必要のない人がモリモリ殺されるのホントおもろい。

完璧主義で凄腕の殺し屋が、一度のミスで全てが崩れ、念仏の様に唱えていた「殺し屋のルール」の裏に隠していた自身の性や人間臭さが露わになって行く。
掟を反芻し、完璧に仕事をこなそうとする事自体が、彼の弱さや人間らしさの表れに見えてくる。自身が未熟である事を自覚しているからこそ、常に抜かりなく完璧である様に心掛けている。これこそプロの仕事の姿勢。
冒頭に主人公へ抱いた印象が、映画が進むにつれて徐々に変わっていくのがとても面白い。

フィンチャー、真顔でボケてくるタイプの映画の時が1番輝いてる。
ゴーン・ガールの次くらいには好きかも。
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