Bew666

ザ・キラーのBew666のレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.0
今まで見た事ない、殺し屋の見せ方が凄く良かった。
とても几帳面で、何をするのも計画的な、抜かりのない行動を見せながら、たった一度のミスで全てが崩れ去っていく様子が面白い。

必死に取り繕うが、心拍数を見ると高い数値になっているのに、自分の中では冷静と思い込んでいるので、どんどん解決手段が荒っぽくなっていく。しかしそんな荒っぽさの中にも、プロフェッショナルな手際の良さもある。
そんな、とても緻密で難しいキャラ設定を、マイケル・ファスベンダーさんが演じた事によって、完璧主義でミステリアスだが、肝心な所が抜けている間抜けなキャラクターになっているのが、とても素晴らしく、愛らしいし、「殺し屋」という怖さもちゃんと出てるのが本当にすごい。
また、自分の中で完璧な作戦と行動を考え、それを実行しようとするが、全く上手くいかない感じが凄く共感ができ、とても親近感が湧くキャラクターになっているのも、非現実とリアルのバランスが上手いなと思いました。

そしてコメディとして見せるのではなく、上質なサイコサスペンスとして描くというアイデアが、さらにキャラクター性を光らせている。アクションや所作の見せ方一つ一つに、異常なまでのこだわりが見て取れるので、この監督は流石だな感嘆するばかりでした。

BGMも良く、キャラクターの動悸が音楽に繋がっていくような形になっているので、全体を通して重苦しく、じわじわと追い詰められていく感じが、非常に映画を盛り上げている。全体を通して、相乗効果がここまでちゃんと決まっているのも、珍しいなと思える、シンプルなのに味わい深い映画でした。
とてもオススメです!

🙇🏻‍♂️読んでいただきありがとうございました🙇🏻‍♂️
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