「自分のケツは自分で拭け」
往年のフィルムノワールを継承しながらも現代のテクノロジーを応用する新世代型ノワールと言える。成功率100%の殺し屋も人の子。失敗する時は瑣末な理由なのだろう。落とし前の付け方はまさに自己リベンジスリラー。
めっちゃ好きなタイプの映画でした。
デビッド・フィンチャーの最新作。
Netflixよりひと足先に一部劇場で公開されましたが、時間とタイミングが合わず配信を待つ形に。
冒頭から自分語りでうるさい主人公。
このフィルムノワールの定石が実にユニークさを演出しており、一方でこの間にこの主人公の殺し屋がかなりの手練れであることがわかります。
そうやって映画の中での最初の暗殺に踏み切る彼ですが…思わぬ事態に殺し屋としての立場を危ぶみ腕と実績のある殺し屋ならではの思考で埋め合わせをしていく主人公。
そんな具合で物語が進行していきます。
ノワール調の作品に触れていない人には構成や演出に意表をつかれると思いますが、このやり方のおかげでスリラーとしてハラハラするような見せ方に加え、主人公が愛おしくなる愛着的な見方もできるようになります。
とにかく誰かと戦うファイトシーンは見応え十分だし、殺し屋として様々な事前準備をする模様は鮮やかでかつ編集の巧みさもあり見入ってしまいます。
これは何度も噛み締めて観たいスルメみたいな映画だと感じました。
※2023年新作映画154本目
※2023年自宅鑑賞155本目