カタパルトスープレックス

ザ・キラーのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
3.7
デヴィッド・フィンチャー監督の殺し屋を題材としたハードボイルドサスペンスです。フランスの同名マンガ(BB)が原作。『マンク』に続いて2作連続のネトフリ作品。なんとなく『リミッツ・オブ・コントロール』っぽい。ティルダ・スウィントンも出てるし。

本作の特徴はセリフではなく、ナラティブでストーリーが進むこと。主人公の殺し屋(マイケル・ファスベンダー)の視点。とても単純なストーリーで、セリフだけでなくナラティブもいらなかったんじゃないか🤔と思ったり。ただ『ファイト・クラブ』(1999年)の原作小説ってナラティブが中心で、本作と雰囲気も似てる。ダークなハードボイルドな感じ。多分、フィンチャー監督の好みなんでしょうね。

登場人物はほとんどが「死」を日常の延長として受け入れている。その中で主人公の殺し屋だけが「死」を受け入れられない。それがおそらく最後の選択にも影響したんだと思います。だとしたら……だとしたら、本作のテーマは何だったんだろう。きっとあるのでしょうが、ボクは掴みきれませんでした。

しかし、本作は時代のトレンドをいっぱい取り入れていましたね。Airbnbは監視社会っぽくてイマイチ。WeWorkは廃れて廃墟。スマートウォッチにスマートキー。スマートウォッチで起動する電動スクーター。それでいて音楽はザ・スミス。そして、ポーティスヘッド。楽曲提供トレント・レズナー。1980年代後半から1990年代の初頭。まあ、ガジェット好きな40代から50代にとってスイートスポットな感じ。