ゆかちん

ザ・キラーのゆかちんのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
2.8
めっちゃSmith聴くやん!!

ノワール調でスタイリッシュ。
主人公の冷静沈着ながら段々疲労が見えてくる見た目の変化の中、着々と計画を実行していく姿。
…という演出で忘れかけるけど、自分の失敗のせいやのに自分を責めずに相手を殺していくんやってツッコミがどうしても浮かんでくる苦笑。

元は小説なんかなってくらい心の中の自分語りが多い。
周りから見たら敵にしたらアカンやつで冷酷無慈悲な暗殺者やけど、それなりに要所で人間としての葛藤はある…というのを表していたのかな。



暗殺を生業とする男(マイケル・ファスベンダー)は、いかなるときも完璧に任務を遂行してきた。
しかし、あるミスによって窮地に立たされ、命を狙われる身となってしまう。
彼は雇い主ばかりか、自分自身にさえあらがいながら、国境を越えて追跡劇を繰り広げていくーーー。



「計画通りにやれ
予測しろ 即興はよせ 誰も信じるな
決して優位に立たせるな
対価に見合う闘いにだけ挑め
感情移入するな、感情移入は弱さを生む…」

…といった自分流のルールを唱えながら仕事をする。

導入のとことか、自分語りと神経質なほどキチンとした所作におお〜って思ったけど、サラリと凡ミス。
そこから逃亡し、隠れ家に帰ると、最愛の恋人が組織から暴行されていた。
入院して命は取り留めるも、自分たちに危害が及ぶのを避けるのと復讐するため、指示者、実行犯、雇い主を辿っていくことに。


確かにキチンとした所作なんやけど、Smith聴きながら銃撃つんや。
や、気持ちを作るのに音楽は良い効果を生むやろけど、背後から誰かに狙わらたりしたらどうすんねやろ。物音は聞こえた方がよくないか?
あと、心拍数、それ大丈夫なん?
…みたいなツッコミどころが、、、。

ただ、逃亡するとき、証拠品をバンバン捨てていったりするのカッコ良かった。
ああいう撮り方とかさすがやね。

あと、めっちゃ金持ちそうでええとこ住んでるし、恋人おるんや。てか、結婚してるん?
さらに、その恋人家族とも仕事について暗黙の了解みたいになってて。
そうなんや、割と普通というかええ暮らししてるんやな〜と。
暗殺者って孤独なイメージやったし、目立たないようそんな金持ちの家とか住んでなさそうかなとか思ってたから。

で、恋人が酷い目に遭わされて、今後も命狙われかねないから、その根源を断つために行動を起こす。

ここが、割と危なげなくサクサク進む。

途中、相手を殺めるときに葛藤を抱えたり抱えなかったり。
そこがこの映画で見せたいところだったのかな。

タクシーの運転手、可哀想すぎん?
巻き込まれただけやのに。
主人公はお前が原因みたいなこと呟いてたけど、タクシーの運転手やもん乗せてもうたら運ぶのは仕方ないよな。。
アシつくのあかんから殺さないとあかんのかな。それにしてもさ〜カタギの人を殺めるのはどうかと思ってしまった。

雇い主の仲介の弁護士と秘書も殺す。
自分や恋人への制裁を指示したからかな?
秘書も可哀想だったなー。
子どももいて、その子らに保険金出すために殺し方を言うて。
つらー。
少し葛藤するも、殺す主人公。

そして、恋人暴行の実行犯の2人。
男性とは格闘してた。なかなか重いアクション。
もう1人の女性は、ティルダ・スウィントン!
おおおー。
全てを悟ったティルダ・スウィントンの演技はクールやった。
実行犯の女性と対面し、彼女の話を聞きながら表情を少し変える主人公。
同業者ならではの共感などが滲み出る。
ここの演技大会も見どころか。
でも、慈悲はかけず実行する。

最後、雇い主に近づいて彼の殺害はどうかを判断する。
話をして、主人公たちへの制裁は雇い主が指示したのではないと判断して、その場では殺さず去る。

ここの判断は、なるほどとなったけど、本当のところは、もう殺すの疲れたのかな。
なんか、もう殺すのやめたら?て言いたくなるような主人公なんよねー。
段々やつれていくし。
それか、雇い主は有名人やから、殺すことの社会的影響を考えたのか。

もう俺たちに近づくなと脅して去って、
無事、退院した恋人と優雅に暮らしましたとさ、というオチ。

ううむ。
めでたしめでたし、なのか?
なんか、ふわっと。

まあでも、全体を通して暗殺者というか復讐者の機微みたいなものを表現したかったのかな。

監督はデヴィッド・フィンチャー。
フィンチャー作品、基本、観た後はなんか暗くて重い気持ちになるから笑、特に好きという思いはないけど、彼の中のカラーが通っていて、見て満足する作品ばかりだから、信頼してる監督かも。
今作はその中で一番ふわっとしたかな笑。

でも、人間の良心と闇の部分をクールに炙り出すイメージなのは変わらないかも。

主人公役にマイケル・ファスベンダー。
この配役が絶妙やな〜と。
多分、暗殺者って普段は目立たない普通の人に馴染んでいるんだろうなってところで、彼が演じてるのはよりリアルに。
というのも、マイケル・ファスベンダーって、間違いなくカッコいいんだけど、そんなインパクトのある顔では無いんよな〜。
絶対普通にいたらイケメンだ!ハンサムだ!ってなるんやけど、一般人のハンサムってところにも落ち着く見た目というか笑。
X-MENのマグニートーで知ったけど、普通にいたら普通のカッコいい人になるんよな。
多分、クセのある顔じゃないからこそ、ハンサムなんだけど。
そういうのもよく作用してた。
寡黙で冷静ながら葛藤をその奥にかかえる表情。
悪いことしてるけど、本当のところは良い心が残ってる、というのはマグニートーに通じるのかな。


休みの前の夜にお酒呑みながら見るのに良かった!
ゆかちん

ゆかちん