テルヒサ

ザ・キラーのテルヒサのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.8
計画通りにやれ。即興はするな。
プロ意識が高く、淡々と仕事をこなそうとする殺し屋は、一つのミスから少しずつ信条に反する行動を始める。
主人公のモノローグが印象的。長距離狙撃の暗殺でさえ躊躇っていた彼が、ほとんど対面で標的を殺すようになるのは、終盤の対話にもあるように、安心したくなったからなのではないか。結局は彼も一人の人間であり、その人間らしさによって苦労していた。
構図の良さと編集のテンポの速さはフィンチャーらしさに溢れてて、やはり好き。
彼が強かに暗殺の準備とするシーンと、そこからモノローグも挟めなくなるくらい余裕がなくなる殺しのシーンのギャップが見どころ。
ラストカットで目元が痙攣してたのは、どういう意味か。あんなにヘマしてやっと落ち着いた恋人との生活を手に入れたのに、仕事に戻りたくなったのか。さながら仕事と上手く折り合いをつけられない現代人のようにも見える。
主人公の無言の時の表情が良い。
依頼人を殺さなかったのが最大のヘマでは。
テルヒサ

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