さいじょう

ザ・キラーのさいじょうのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.0
入念な準備の大切さ教えていただきました笑。

現実主義、完璧主義の殺し屋、クリスチャン。
「運命なんて信じない」、「行動する時が最もリスクがあるのではなくて、その前後である」とか、殺しが成功するかしないかは全て自身の行動によって決まると考えている。
冒頭15分足らずで、主人公がどのような人物なのかを理解させられた。ナレーションの語り口調で進められる殺しのための準備には、思わず釘付けになった笑。

しかし、準備をしていたにもかかわらず、ミスをしてしまう。
それによって愛する人?妻?かわらんけど、その人が襲われる。
そこから、価値に見合わない"らしくない殺し"を始める。
その殺しの最中も自身に入念な準備をしたら大丈夫だと言い聞かせていて、完璧を装っていても、実は内心どこか不安があるように見えた。
完璧に見えてた主人公にも人間らしさが垣間見えて、共感するとこも多々あった。

弁護士のホッジスの秘書みたいな女の人を結局、望まれていた事故死で処理してたっぽいし。感情移入するなと言い聞かせていた割には、感情移入してた笑。

途中、ティルダ・スウィントン演じる綿棒のような女に、熊の例えを語られるシーン。
その話と主人公を重ね合わせると、実際は復讐のための殺しが目的じゃなくて、入念に準備を怠らない自分、殺し後の後始末を完璧に遂行する自身を再確認することが本来の目的になってんかね。
復讐感を強調するシーンもあったようには感じひんかったし。

ラストシーンの「数少ない1人ではなく、数ある1人なのかも」と言うセリフは、まさしくこの主人公のセリフにぴったりやった。
成功を掴むためには(殺しを遂行するためには)、自身次第だと言うことを教えられた気がする。

オープニングから、デヴィッド・フィンチャー感めっちゃ出て良かったです笑。
さいじょう

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