女房に逃げられルンペン生活を強いられている中年男（野上正義）が、若いバスガイドたちを乗せる研修バスに乗り込んでしまう。バスジャックのドタバタ模様を喜劇タッチに描いている、日活ロマンポルノ。ワタナベプロダクション製作。
すべての登場人物がぶっきらぼうな言動を取る、緊張感ゼロの艶笑クライム劇場。短小のバスジャック犯が「バスガイドを相手に、アレをやってみたい、コレもやってみたい」と、アナーキーなエロ妄想を実践していく。
何よりも、保身のことばかり考えている警察＆官僚の、極めて白痴的な動向を絡ませながら、「人類みな穴兄弟」「世界は下半身でまわっている」を語っていく手法がスンバラシイ。「平和とは何だろう？」という普遍的命題の答えがココにある。
70年代アナログ・シンセサイザーの音楽がふんだんに用いられているため、電子音楽好きの耳を楽しませてくれること請け合い。タイトルの「セミドキュメント」はツッコミ待ちと思えばオッケー。
