ヨーテボリ映画祭にて。

ロシアの標的にされたフランス芸術大使の恐怖と逃亡を描くスリラー、緊張感が持続してハラハラの連続で面白い。
「実話におおまかに基づく」とあったが、かなりの部分が脚色されてアクションスリラー化してるので「実話から着想を得た」のほうがよかったんじゃないかな？とは思った(余計なお世話)。

「アントニー・ジマー」「ラルゴ・ウィンチ」のジェローム・サル監督、ジル・ルルーシュ x ヨアンナ・クーリグ(COLD WAR あの歌2つの心)共演。

ジル・ルルーシュがたいへんな事になっていた。

ロシアに目をつけられたら正論で反論しても無実を訴えても話は通じず太刀打ちできない恐ろしさが描かれていた。
巨大権力に対する個人の力には限度があるが、相手はロシア、フランス側に助けを求めればいいじゃん…という思いは打ち砕かれる。実際劇中でもフランス大使館に駆け込むがあまりに無慈悲な対応が待っていた。
これは絶望的では…と思いながら主人公マチューの行く末を見届ける羽目になる。

そもそものきっかけは、マチューが主催のアリアンス・フランセーズ(フランス語とフランス文化の教育を行う政府公認機関)の大々的なパーティで上演された舞台パフォーマンスにロシア的問題があったこと。
これはマチューの事前チェックが行き届かなかったか抜き打ちでその演出が追加されたかはよくわからなかった。
さらにその後のバーで仲良く話していた女性職員スヴェタの義父がFSB(前KGB)だから大変。

謂れのない変な恨みを買ってロシア側を逆撫でした形になってしまい、さらなる容疑はかけられるわ、理屈が通じずまともに話もできない最悪の事態で絶望的。
人権尊重なんてそこにはなかった。

逃亡劇としてもスリリング。どうやったって国境を越えるのは難しく。それをどう突破するつもりなのか。
ロシア内の道中敵だらけと思いきや、隠れ反ロシアみたいな人もいることはいるんだな。しかし彼らだって自分を危険に晒したくないわけで、協力するわけにもいかない。味方のふりして通報されるかもしれないし。どうなるんだマチュー……

実話を元にしていて結末は分かっているが、大いに脚色ありのジェットコースター的な展開によりエンタメ色が増して面白かった。

ロシアが酷いのは言うまでもないが、フランスの初動対応も酷かったなこれ……。

PayPalがそんなところで役立つとはねと思った次第。

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