韓国人の監督なだけあって、韓国映画のような作品だった。
まず盲者とろう者の恋愛という題材だけでそれっぽい。
「私の頭の中の消しゴム」や「ビューティーインサイド」みたいに、2人には超えられない壁があって、その関係の落ち着く先はまったく見えない。
だけど互いを思いやる気持ちはそれさえも忘れてしまう、愛とはこんなに美しいものなのかと気づかせてくれるお話。
日本の恋愛作品は少女漫画のような作品が多いけど、韓国作品は小説を見ているよう。
移り変わる季節や、風になびいた髪や服の動き、ひとつひとつの表情を丁寧に汲み取っている。
どんなに切なくても、高杉真宙のようなクスッとなるキャラクターがいるのも韓国っぽい。
吃音症の彼は周囲から笑い物にされていたが、彼女だけが笑顔を向けてくれた。ただそれだけの、不器用で真っ直ぐな思いだったんだな。
結局わたしはそっちの終わり方が好きだから良かったけど、もしその前の段階で終わっても“忘れられない恋愛”って感じで儚くて良かったかもしれない。むしろそう終わると思って号泣した。