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この小さな手のizuのレビュー・感想・評価

この小さな手(2022年製作の映画)
3.6
父からの愛なく育ち、父を忘れてしまった(認識していない)娘と、娘と向き合う決心をした父のヒューマンドラマ。

イラストレーターの和真。日々、絵描きに没頭し家族を見ていない。そんなある日、妻が階段から足を踏み外し病院に送られ、意識が戻らない状態に。娘、ひなにも無関心だった和真は児童施設に預けられるひなをなんとも思わなかったのだが、一人で過ごし自分の愚かさに気づく。

妻は娘と夫を見ている。夫は...何も見ていない。

妻の事故から娘と向き合いだすっていうのがなんとも最悪ではあるけど、今までの自分を悔いに悔いてから娘と真剣に向き合いだす父の姿がとても良かった。
もうとにかく夫がダメ夫すぎて、この夫が更生しつつ次第に娘と仲良くなっていく過程が美しいよね。

かめさんは? すき!
ぞうさんは? すき!
ねこちゃんは? すち!
じゃあ、パパは...? ・・・。

めちゃくちゃ笑ってしまって土下座。(そういう映画じゃないのに)
ひなが何が好きか、何をして遊んでいたか、どう遊べばいいか。全く分からないし何から始めて行けばいいか分からないけど、ひとつひとつ手探りで。不器用でも。

周りの人間が(いい意味でも悪い意味でも)暖かすぎるけど、普段人が死にまくってるろくでもないような映画しか観てない私からしたら十分に心が浄化される素敵な映画でした。(わりと涙腺が緩いので何回かうるっとしてしまった)

視聴 2023年12月2日
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