hasse

紳士は金髪がお好きのhasseのレビュー・感想・評価

紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)
4.5
演出4
演技5
脚本4
撮影4
音楽5
技術4
好み5
インスピレーション5

大胆なスリットから美脚を覗かせながら、セクシーな赤いドレス姿のジェーン・ラッセルとマリリン・モンローが、天幕をパッと跳ねあげ舞台へ現れ、「リトルロックから出てきた二人の娘…」と歌い出すショットは最高にシビれて脳ミソがショートしてしまい、果たして自分はこの二人のどちらをメインで見ればいいのだろうという究極の二択を脳ミソが処理できないまま、結果、ただただボケーッと心地よい気分で画面を観ていた。

ハワード・ホークスが手掛けたミュージカルコメディ。結婚するなら金持ちが信条のローレライ・リー(モンロー)と金より何より「いい男」をモノにしたいドロシー・ショー(ラッセル)。性格は正反対だが苦楽を共にしてきた大の親友で、それは劇中で4,5回ほど描かれる二人が肩を並べて(舞台や、階段の上から)現れるショットでよく表されている。

二人の恋愛の信条はいずれかが否定され失敗に向かうのではなく、いずれも成就し、二人はまた肩を並べて結婚式を挙げる。正反対だがどちらが良い悪いではなく、どちらも、二人に合った愛の形ならいいじゃない、という人生哲学が裏付いている。
二組ならんでの結婚式は、スタージェス監督『パームビーチ・ストーリー』的な大団円ではあるが、ここまで様式的なシスターフッドを極めきった映画があるだろうか?(しかも、その手前の裁判のシーンでショーがリーに扮装し「二人は一つになる」)

脚本も練られており、何気ない会話の中に言葉遊びをふんだんに入れ込んでいたと思うが、英語を聞き取れないところも多々あり、惜しいことをした。

ジェーン・ラッセルがプールで飛び込むマッチョマンに押されて水に落ちたのは、台本ではなく事故らしい。『腰抜け2丁拳銃』では馬から落ち、本作ではプールに落ちるラッセル(笑) セクシーでクールなラッセルのギャップ萌えポイントとして、個人的に忘れがたいシーンである。
hasse

hasse