Aya

ナチスに仕掛けたチェスゲームのAyaのレビュー・感想・評価

3.5
#twcn

チェスの話かと思ったらあまりゲームは出てこずさみしかった…

でもでも!

ストーリーがグッとき過ぎた。゚(゚´Д`゚)゚。

最近なんかドイツ映画づいてますねw

チェスは小学生の時に一番ハマってて、大人になったらちょいちょい盤を取り出してチョコチョコいじったりするくらいなのです。
一緒にプレイしてくださる方常に募集中…

ナチス台頭の前日、妻とパーティー(モンスターを倒す方じゃない方)に繰り出すハンガリー人の金持ち弁護士ヨセフ。

が街はハイル・ヒットラー感ビンビン。
国民の不満は金持ちへ。

パーティー中に訪ねてきた友人の忠告で妻を先にNYへ逃がし自身は持っている銀行口座の書類を暗記し焼き払う。
しかしそこへナチが介入。

捕らえられたヨセフはパーティーの服装のまま貴金属だけ奪われ監禁。
『口座番号を教えなさい。そしたらお家に帰れるよ』と。
自身の蓄えた貯蓄はすべてドイツ政府a.k.aナチのものになる。

※ここ勘違いしがちですがヨセフはハンガリー人。ユダヤ人ではないので迫害の対象ではない

拒むヨセフ。
対するナチ、といった構図。
文化的でおハイソな上流階級育ちのヨセフ(ちょっとイラっとする感じの金持ちのおっさん)は、最初のうちは食事を運ぶ軍人や詰め寄るナチス高官に対してもジョークを叩くが、次第に"何もない時間”を過ごすことに。

自身のメイドだった娘の笑顔を目にしドイツの資産a.k.a書籍などもどんどん処分されるのを目の当たりにしついに耐えられなくなる。

口を開きそうになったその時、トラブルの最中彼は近くにあった書籍を一冊くすねること成功。
久しぶりの書籍の感触、匂い、紙の手触りに酔いしれて開くとそれはいままで馬鹿にしていた万人の娯楽ボードゲームのチェスの本だった…

って感じですかね?

あの久しぶりに本に触れてエクスタシーがダダ漏れのヨセフおじさんHotでしたよ。
わたしも自身の本棚を電子化していない書籍にエクスタシーも感じるタイプなのでめちゃくちゃ気持ちわかる!

紙の感触、ページを繰る度左手から右手へ移る重み…こんなロマンティックなことないの!

でも5年ほど前に読書好きの友人が電子化をした際『本が増えるストレスがない』と言っていたのはハッとしました。
たしかに…

まあそれは置いといて、以後ヨセフはチェスに夢中になるんですね。
それしかないから。

で、そんな囚われのヨセフとドイツを逃れてNY行の客船に乗ってるヨセフの2つの時間軸で見せていくのですが上手でした。
違和感ない。

あの結末が幸か不幸か、あなたにはどう映りました?

わたしにもその判別はつかないけどヨセフのあの穏やかな顔は幸せそうに映りました。

時計の行方についてはよくわからないし相手のミルコもあまり細かくは描かれないのですが、あの差し出された手にはそれ以上のものがありました…

『想像以上に』

金持ちの醜さとひとを追い詰める時間、おそろしくグッとくる映画でした。

ツヴァイクなんや!
原作本を読んでみたくなったので、映画館でも売ってください
(ここが京都シネマとアップリンク京都の違い、やと思います)


日本語字幕:川岸 史
Aya

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