これは邦題がよろしくないのでは?。ナチスによって生きる気力を奪われた男が、極限状況の中でただひとつ縋りついたものがチェスであった。そして支配から抜け出した先の船上のチェス対決とその顛末。
オーストリアの併合前の主人公の楽観ムードは決して笑えない。まさかの出来事はいつだって突然に降りかかる。そして暴力も威圧もしないがホテルでの軟禁生活は人の心を容易く蝕む。
退屈だと侮っていたチェスが主人公自身を救うという皮肉。しかしその救いは・・・。真相そのものはよくあるものではあるが、丹念な見せ方とメッセージ性は良き。
この手の映画が好きの自分にとってはなかなかの収穫でした。