「トイ・ストーリー」の中のおもちゃになったみたい。子供に遊ばれ、愛着もたれるのはいいけれど、これが巨大企業の社長のおもちゃにされた社員だったらたまらない。その両方をかけています。
たまたまおもちゃ売り場にいた新聞記者が、新聞社ももつコングロマリットの社長の子息に見初められ、「僕のおもちゃに欲しい」と買われてしまう。
わがままな男の子のおもちゃにされ、言いなりにされる記者の悲哀。前半、この少年にイラっとします。
少しずつ、家庭の事情と男の子の気持ちがわかってくると、記者は進んでおもちゃとなり、本当に人をおもちゃにしているのは父親だと、一計を案じます。
わがままな男の子が実にわがままそうで、こ憎ったらしい。なのに繊細な表情をするからほっとけない。
記者を演じたピエール・リシャールがいい味で、1テンポ置いた大人のコメディになっています。
全体にほんわかしていて、シニカルな内容なんですが、柔らかいんです。ピエール・リシャールの味わい深い演技がよく、少年との心の交流がだんだん深まり、互いに優しくなっていき、ラストも温かかったです。
これがフランス映画のおもしろみなのかしら。好みでした。