まや

クイーン・オブ・ダイヤモンドのまやのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

監督特集で鑑賞。こちらの方が好みの作品だった。淡々と物語が進んでいくのは共通していた。

あまり感情がわからない主人公で、ずっと無表情で、淡々と日々を過ごしている。カジノのディーラーという派手な仕事の割に堅実に生きているような印象で、そのアンバランス感が好きだった。そんな彼女も寝たきりの叔父の世話をしてても死んでしまったり、居なくなってしまった夫がいたりと抱えているものがあるが、そこに対する感情はあまり伝わってこない。

でもヤシの木が燃えているところからモヤモヤしているのは何となく伝わってきた。
そのモヤモヤを最後断ち切るように一人ヒッチハイクで街を出て行くシーンがすごく好きだった。夕暮れから夜になる時間、画面の真ん中にシルエットで映る彼女。すごく良かった。

でも、感情の変化をあまり追えないから、最後の行動に対する盛り上がりが抑えめな感じだった。ライカート監督の『リバー・オブ・グラス』のラストが大好きなのだが、あの作品で感じた気持ちの昂りがもう少し欲しかった気もした。

それから、暴力振るわれている隣人の結婚式のシーン。本当になぜ、こんなやつと結婚することを女性は選んでいるんだよと思ったし、結婚パーティーの美しい海が背景のハリボテの幸せが映し出されているシーンとても良かった。映画における結婚式関連のシーンって本当に嘘くさくて皮肉っぽくて好きだな。

全編を通して、とにかく海や建物、カジノの作りもすごくて、画面の美しさから海外に来た感覚を味わえて引き込まれた。
まや

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