ラストが凄すぎる
後半は今泉力哉監督より大森監督の作品のようだった。
誰かの本質
本当の自分
どれだけ解っているだろうか?
真木よう子が水に沈むシーンは無意識に潜む意識に戻されるよう。
ゆっくり流れる雰囲気の中にそれぞれの過去とトラウマを覗かせ、それでも優しく進む。
夫が失踪したサスペンスであり、怖さと優しさを感じるヒューマンドラマでもあった。
淡々と失踪した夫を待ち続け、家業の銭湯を守る妻と突然現れた穏やかな清涼飲料水のような清潔な男。
怪しさが付きまとう興信所の探偵。
この作品はどのキャラクターに没入するかで鑑賞した人の感想がだいぶ変わりそう。
映像はふんわり今泉テイスト。
…しかしこの中の登場人物のあるキャラクター、酷すぎる。
このような人と少し関わってしまった事を思い出し、苦しくなった。自分の場合はネットだけだったし短期間だったので傷は浅かったけれど。
劇中のセリフがもう、なんとも言えない。
人間は強くない
そんな事してうれしい?
この人物がとても頭が良い事、人間の心理を読む天才的な能力である事が最低だ。
いろんな人間がいるけれど、こういう人物と関わったら逃げるしかない。
でもラストのあのシーン。
私でもやはりああしてあげるかもしれない。
とにかく凄い話であり、映像と胸に響く優しさはいつもの今泉監督の作品でした。
キャストの演技が素晴らしく脚本が秀逸。
完成度の高い作品です。