今泉力哉監督作品。
常に男女の関係における感情の機微を繊細に描いてきた今泉力哉監督。
本作では人をわかるということの不可能性と矛盾を淡々と描く。
人をわかるということは何をわかることなのか。その人の性格や出生、経歴。そのどれもわかることではなくただ知ること。
たとえ夫婦でもたとえ親子でもお互いの事を知ることはできてもわかることはできない。人間の心の奥底に滞在する何かをわかることは自分さえも出来ずそもそもそんなものがあるのかさえわからない。
シビアな現実を日常の営みとともに突きつける本作は厳しいようで温かく、優しいようで残酷だ。
また俳優陣の自然な演技がとても巧い。
特に永山瑛太はここ最近の活躍も相まって本当にすごい役者さんだなと思った。
表情の微妙な変化や目線の細かな動きで人間味をこれでもかと感じさせる。圧巻でした。
日常の生活を切り取っているかのような監督の演出とそれがもたらす雰囲気がとても心地よく長さを全く感じない。
いい映画を観たなという鑑賞後の余韻で大満足でした！
