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アンダーカレントのdm10foreverのレビュー・感想・評価

アンダーカレント(2023年製作の映画)
4.2
【裸の付き合い】

まだ僕が小学生5年生の頃。
家の近くに銭湯があって、一時期、家の風呂に入らずに毎日そこの銭湯に通ってみんなで風呂に入るというのが流行った時期があった。

で、やっぱり小学5年生のガキが3~4人集まれば、浴場でもキャッキャと騒いでしまう光景は目に浮かぶと思うんだけど、ある時、いかにも常連っぽいおじいさんから「うるさい!他にも人がいるんだからもう少し静かにしなさい!」と怒られた。

案外気が小さかった僕らは途端に(シュン・・・)となっておとなし~~~~~く湯船に浸かっていた。
そして(そろそろ上がろうか・・・)となって脱衣所に向かっていくと、例のおじいさんが僕たちの方を見て手招きしていた。
(・・・怖え。また怒られる)
みんなビクビクしながらそのおじいさんのところに寄って行った。
すると徐に人数分のコーヒー牛乳を奢ってくれた。
そしてきょとんとする僕らをよそに、おじいさんは(またな)って感じで帰って行った。

・・・ここからは僕たちの想像なんだけど、きっとあのおじいさんはあの後の僕らのシュンとした表情を見て(ちょっと言い過ぎたかな・・)って心を痛めてしまったのかもしれないねって。
それで僕らに(ごめんな)でもないけど、代わりにコーヒー牛乳を奢ってくれたんじゃないかなって。
正直、その時はビックリしてそこまで頭は回らなかったけど・・(笑)
でも大人になってみると、案外あの時のおじいさんが心底怒ってはいなかったこともわかる。
ちゃんと社会のマナーを僕たちに教えてくれただけだったんだと。

「裸の付き合い」なんて言うけど、やっぱり服を脱いでしまえばそこには、いわゆる「ええカッコしぃ」も通用しない「素の自分」だけがそこにいるような気がするんですね。
だからなのか、あの時おじいさんに怒られた時も、何も反論も八つ当たりも出来ずに「確かにうるさいな・・」って自分たちを顧みることも出来たし・・。

そんな思い出も蘇る懐かしい風景。
続きは内容にも触れてしまう故、フィルターかけて番台の向こうでお待ちしております。
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