このレビューはネタバレを含みます
旦那さんのことが見えてこない。
優しいとか、人当たりがよいみたいなことは、その人をその人たらしめるものではない。
「人をわかるってどういうことでしょうね」
◉海辺のカフェでの夫婦の会話シーンが素晴らしかった。
”嘘をすらすらつける。罪悪感なく。
僕は人が言ってほしいことや、信じたいことがわかるんだ。
嘘をついていると、何人か気づく人も出てくる。けど、さらに嘘をついたり、その人を嘘つきに仕立てたり。
でも、どうしても一つの場所に長くは居られなくて。居られなくなったら、またどこかへ。
人からよく思われてたほうが楽だから。”
めっちゃわかる・・・・・・。わたし自身も人間関係リセットしてきた人生だから。自分は両親や恋人や友人にどれだけ正直に自分を見せてきただろうか。
◉ラストは唐突。
告白とかなえの表情を突きつけて、散歩の後ろ姿でエンドロール。
140分で物語を一切閉じない、鑑賞後と地続きな終わり方。胸に真っ直ぐ響いた。
◉人をわかるって?
自分のこともよくわからないのに。そう。ある物事に対して自分がどんな反応をするのか、どんなことを思うのか、それは自分にもわからないのだ。
社会では自己分析だとかみんな言ってるが、それはせいぜい過去を照らし合わせた傾向でしかないし。自分のことをわかっていたら、どれだけ生きるのが楽なことか。
リリー・フランキーにそれっぽいことを言わせるとすごく説得力があるように聞こえるからずるい。
(外飼いのゴールデンレトリバー。最近減っているだろうが、外飼いの犬っていいな)
23.10.06
ユナイテッド・シネマ浦和